「人間の分際」曽野綾子さんを読むと自分の未熟さに気づく

生きる事、ものの捉え方、曽野綾子さんの人間を見つめてきた知恵が満載の一冊。おそらく読んだ全ての方に何らかの「生きるヒント」が見つかるのではないかと思います。

曽野綾子さんは1931年東京都生まれの作家さんで、聖心女子大学を卒業され長年作家をなさっています。ローマ法王から表彰されたり、文化功労者、日本財団会長もお勤めになられた方で、皇后の美智子さんとも仲良しで、上皇后夫婦が葉山をおとづれる時は三浦半島の曽野邸にも行かれるらしい。

甘えん坊に対して結構厳しい発言をされる方ですが、それも戦中を乗り越え、鬱とも戦い、本当に貧しい国での支援等をなさってきたから言える事、なのかなと思っています。現代のおそらく氷河期世代以下の人間が聞くと、「おいおい！」と思う発言にもしかすると見えるかも知れないけど、曽野綾子さんだから言える、言葉の宝物が詰まった一冊です。

「甘えん坊」には手厳しく、災害避難時に「健常者は弁当をもらうな」とか「救援物資をあてにするなら、その辺で調達してくるのも才覚」「放射線の強いところには爺さん婆さんをいかせよ。私も行く」等思い切った発言もされしばし注目を集める事もある人ですが、信念をお持ちでしっかりとした持論をお持ちの方なんだなぁと感じます。

「人間の分際」は今までの著書を凝縮したような一冊で「名言の宝庫」。
タイトルをみただけでも
「裏表ある人こそ人間らしい」
「不公平に慣れないと器が小さくなる」
「老いと死がなければ、人間は謙虚になれない」
「誰でも人生の終盤は負け戦」等々
なんかドキッとさせられるタイトルも多くささっと読めてしまう。

何回か読んでいくうちに、少しずつ意味がわかったり、体得もできるのかなと思いながら、枕元に置く一冊になりました。
おすすめです。